haccpはどういった食品検査なのかを解説!

食品は幅広い人々が食べることを前提にして生産、販売されます。それゆえに非常に高い安全性が重要となります。その基準を示す方式の1つがhaccpです。このhaccpは1960年代にアメリカで宇宙食の安全性を確保するために開発された方式ですが、昨今では一般的な食品においてもこの方式が適用されるようになっていきました。

ここでは、haccpの詳しい内容について解説していきます。

haccpとはそもそもどういった方式か

近年では食品や食材の国際化が進んでいます。例えある国が高い安全性を確保していたとしても、様々な流通経路を通じて安全基準が低い国から食品が入ってくる可能性は大いにあります。そこで重要となるのが国際的なシステムです。

国際的な基準が明確に示されていれば、様々な国から食材が入ってきたとしても安全性が保たれる可能性が高まります。そのために役立てられているのがhaccpです。haccpは「Hazard Analysis Critical Control Point」の略であり、食品の工程や加工、流通、消費という全ての段階において衛生的に取り扱うシステムになっています。

食品の製造行程中に危害防止に繋がる重要管理点について、リアルタイムに記録していくのがhaccpシステムの特徴です。このシステムの考え方は食品規格委員会から発表されていて、国際的に強く認められるようになりました。

食品規格委員会は国連食糧農業機関と世界保健機構の合同機関であり、国際的な信用性が非常に高いと言えるでしょう。

haccpの具体的な内容

haccpシステムは様々な角度から食品の安全性について危害などを予測する仕組みになっています。それぞれの製造工程において、危害原因物質とその発生要因などを考慮したリストが作られています。また、危害の頻度や発生した時の影響の大きさなどもリストに含まれます。

多様なリスクに対して防止出来る管理点を設けていることも特徴です。例えば、食中毒の原因となる菌が混入するとすればどの場面が考えられるのか、その防止にはどのタイミングでのチェックが必要なのかなど事細かに決められています。

運や不運ではなく、科学的に安全性を保てることが非常に大きなメリットと言えるでしょう。加えて、新しい危険性に対して備えることもhaccpシステムは重要視しています。世界のどこかで大規模な衛生問題が発生した場合には、その内容に合わせて新しい基準を設けることもあります。

haccpシステムは食品の安全性を高める上で重要なシステムではありますが、その運用が適切になされているかについてチェックを行うことも同時に必要となります。

haccpの認証の種類

haccpには様々な認証の種類があります。食品や生産のスタイル、場所などに合わせてどの認証が良いかを選ぶことが重要となります。それほど生産規模が大きくない企業でも取得しやすいのが地域haccpです。地域haccpは地方自治体による認証となっています。

各自治体が独自で定めた基準に基づき、審査を行います。対象製品や適用範囲が限られている点に注意が必要ですが、haccpの中では取得難易度が低いことも特徴です。具体的な認証としては、東京都食品自主管理認証や福井県食品衛生自主管理プログラムなどがあります。

特定の業界におけるhaccp認証としては業界団体認証があります。惣菜やチャーハン、給食などそれぞれの業界ごとに決められた基準を満たすことで取得できます。取得難易度は少し高めですが、その業界において販売する上で安全性が裏付けされるメリットは大きいと言えるでしょう。

特に給食などの場合はこの認証を取得していないと、小中学校から信用を勝ち取ることが難しくなってしまうことがあります。

haccp認証の中でも特に認証難易度が高いもの

haccp認証の中でも特に認証難易度が高いものとしては総合衛生管理製造過程、ISO220000などがあります。総合衛生管理製造過程とは、厚生労働省が定めるhaccp認証です。レトルト食品や魚肉練り製品、清涼飲料水など特に高い安全性が求められる食品、飲料品についての認証制度を用意しているのが特徴です。

食品に対する日本の安全基準は世界の中でも高いとされており、厚生労働省の認証を得るためには徹底した安全管理が必要となります。ISO220000は民間のhaccp認証の1つです。フードチェーン全体を適用範囲とし、安全に飲食店が食品を提供できるかについての基準を設けています。

民間の認証ではありますが、ISO220000は幅広く知られているので認証を受けることで信用性を高めることが出来ます。基準を満たすためには食品の管理だけでなく、人材教育などにも力を入れていることが求められます。

「厚生労働省で決められたルールを知ろう!食品検査とは?」

従来の管理手法とhaccpの違いについて

日本ではhaccpが一般の食品に適用される前も比較的厳しい衛生基準を定めていました。しかしながら、haccpシステムとかつての管理手法には大きな違いがあります。従来の管理手法は最終製品に対して基準を満たしているかを確認するものでした。

ところが、最終製品だけをチェックしても、完全に安全かどうかを判断することは難しいという難点がありました。haccpシステムによる衛生管理では各工程に合わせて分析がなされます。チェックが最後だけではないため、危険な因子を大幅に見つけやすくなったと言えるでしょう。

また、消費者の食品安全性に対する視線も厳しくなっており、その状況にもhaccpシステムはマッチしています。ただし、haccpシステムは全ての食品に義務付けられているものではないため、基準をクリアしていない食材が出回る可能性はあります。

世界と取引をする上でのhaccpシステムの重要性

アメリカやカナダでは水産食品や食肉などの一部において、haccpが義務付けられています。EUにおいても同様の動きが見られるなど、食品の安全性に注目が集まっていることが伺えます。haccpシステムを義務付けることは、その国の食品の安全性を高めることに繋がります。

それゆえにhaccpシステムを義務化しているかどうかにより、貿易における有利不利が生まれる可能性があります。自国で生産されている食品の安全性をアピールする上でもhaccpなどの厳しい基準を導入することは有効です。

haccpはそれぞれの国の独自の水準ではなく、世界的な水準ですから海外の方の安心にも繋がっています。そのような背景を受けて、日本でもhaccpシステムが義務化される可能性があります。

haccpシステムの課題

haccpシステムは食品の安全を守る上で合理的なシステムであり、その点において課題がほとんどないと言えるでしょう。ただし、基準が厳しいため、基準をクリアするためにコストをかけなければならないケースがあります。

それが小規模の企業にとっては大きな負担になる可能性も指摘されています。