厚生労働省で決められたルールを知ろう!食品検査とは?

安全に食品を提供するために、食品検査が義務付けられているものがあります。また、食品表示法によって栄養成分の記載が必要になりました。食品検査はさまざまな種類があり、厚生労働省によって食品検査の内容や実施する人の資格を決めています。

そこで、食品検査の概要や登録検査機関の条件・食品検査の具体例をご紹介しますので、参考にしてみてください。

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食品検査の概要とは?

食品検査とは、食品の成分や機能性・安全性を確かめるために行うものです。日本には多くの食品が流通していて、輸入した食材もあります。それらを検査することで、放射能や残留農薬・微生物について把握することが可能です。

また、平成27年に施行された食品表示法によって、加工食品や添加物は栄養成分を表示すると決まっています。成人病予防効果や成体機能調節などの機能性検査も行い、製品に表示する上での情報を把握しているのです。さらに、食品のクレームがあった場合、食中毒のリスクや異物の混入などを調べ、適切な対処をするためにも食品検査を行います。

アレルギー対策や消費期限・賞味期限の設定にも食品検査が必要です。

登録検査機関ができる検査とは?

厚生労働省が発表したものによると、登録検査機関では食品衛生法における「第25条による製品検査」「第26条による命令検査」「第28条による収去食品の試験検査」の3つが行えます。制度を所轄するのは、厚生労働省の医薬食品局食品安全部企画情報課です。

第25条による製品検査では、タール色素の検査を行います。タール色素は登録検査機関によって合格表示を付けないと、販売することができません。以前は他の研究所でも検査可能でしたが、平成16年からは登録検査機関のみで調べています。

生産地域の事情で有毒・有害な規格違反があるとされた場合に、輸入者に対して命令検査を受けるように指示できます。これは食品衛生上、危害の防止をするために必要なことです。食品衛生法第26条によって、厚生労働大臣・都道府県知事または登録検査機関の検査を受けるように命令できます。

第28条による収去食品の試験検査とは、必要な場合に輸入食品のモニタリング検査を登録検査機関に委託することです。厚生労働大臣や都道府県知事が収去した食品は、登録検査機関によってしっかりと検査します。登録検査機関では登録の基準が決まっています。

まずは製品検査を行うにあたって、種類ごとの機械設備と知識がある人を一定数確保することが必要です。また、検査部門ごとに専任の管理者を置き、業務や管理における文書の作成もします。登録する時は、登録台帳に登録年月日や登録番号、検査機関の名称や所在地、検査の種類、検査を行った事業所の名称と所在地を記載しなければなりません。

検査には理化学的検査、細菌学的検査、動物を用いる検査があります。理化学的検査とは、遠心分離機やホモジナイザー・ガスクロマトグラフを用いて、含まれる成分や有害物質などを調べることです。検査を行うのは、学校教育法による大学や専門学校を卒業している人になります。

医学や歯学・薬学・水産学・農芸化学・応用科学などの課程を修めていて、理化学的検査業務に1年以上従事していることが条件です。短期大学や高等専門学校の場合は、工業化学の課程を修めて、理学的検査業務で3年以上働く必要があります。

その条件を持つ人を4人以上設置すると、登録検査機関になることが可能です。細菌学的検査とは、遠心分離機や超低温槽・乾熱滅菌器・光学顕微鏡などを用いて微生物や細菌の検査をすることです。検査を行うのは医学や歯学・薬学・生物学などの課程を修めていて、細菌学的検査に1年以上従事している人になります。

また、短期大学や高等専門学校で生物学の課程を修めた人、細菌学的検査を3年以上従事した人も可能です。この条件の人が4人以上で、登録検査機関になれます。動物を用いる検査では、遠心分離機や超低音槽・ホモジナイザーを用います。

検査を行うのは、大学で生物学を学んでから1年以上動物を用いる検査業務をした人、短期大学や高等専門学校の場合は生物学の課程を修めてから、3年以上動物検査に従事することが必要です。この条件の人を3人以上設置できれば、登録検査機関になれます。

食品検査の具体例1「栄養成分検査や機能性検査」

栄養成分検査とは、表示義務がある基礎成分について調べることです。表示するのはエネルギー・タンパク質・脂質・炭水化物・食塩相当量になります。また、機能性表示食品制度が平成27年から始まり、特定保健用食品・栄養機能食品・機能性表示食品に関しては、特定の機能性分をパッケージに記載することが可能です。

具体的には、ビタミンやポリフェノール・アミノ酸などの量を調べています。検査機関でズレを防ぐために食品衛生検査指針があり、それに準じた検査方法をしていることが特徴です。

食品検査の具体例2「残留農薬検査や有害物質検査」

残留農薬検査とは対象農作物に残った成分を調べ、人体に有害な農薬について検査することです。基本的には複数成分を一斉分析していますが、場合によっては農薬1種のみでも検査できます。検査方法はガスクロマトグラフの質量分析装置、高速液体クロマトグラフなどを用いることが多いです。

また、農産物や水産物が育つ段階で、重金属などの有害物質に汚染される場合があります。保存や流通の際に細菌による毒素生成もあるため、有害物質検査も必要です。主な検査項目は鉛・カドミウム・ヒ素・水銀などになります。

食品検査の具体例3「アレルギー検査」

食物を摂取した時に、特定成分に反応してアレルギー発作を起こす場合があります。アレルギー体質の人が健康被害を防止するためにもアレルギー検査が必要です。食品衛生法関連法によって、特定原材料の7品目は表示する決まりになっています。

表示義務があるのは、卵・乳・小麦・そば・落花生・えび・かにです。また、大豆など約18品目の表示奨励品もあるため、詳しい検査をするのが望ましいとされています。

食品検査の具体例4「放射性物質検査」

平成24年、厚生労働省によって食品中の放射性物質規制の基準値が変わりました。それに伴い、放射性物質の測定をすることが必要です。検査項目は放射性ヨウ素131、放射性セシウム134、放射性セシウム137になります。

厚生労働省では、放射性セシウムの基準値が一般食品は100ベクレル/kg、乳児用食品・牛乳は50ベクレル/kg、飲料水10ベクレル/kgと決めているため、基準値よりも少ないかを調べる検査です。また、輸出する製品に関しては、各国で決められた基準値があります。

よって、輸出する国の基準値内かを調べることも重要です。

食品検査の具体例5「異物検査」

髪の毛や虫・ガラス・金属・プラスチックなどの異物が入っていないかの確認を異物検査といいます。また、カビや細菌を検査し、異臭や変色・味の異常を確かめるのも異物検査です。異物検査は製品を出荷する前に行いますが、販売後にクレームがあったタイミングで行う場合もあります。

異物検査は健康被害にならなかったとしても、商品や企業の信頼性に関わる重要なものです。異物混入があった場合は、迅速に説明や謝罪・再発防止計画の策定をします。

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